ディーゼルの可能性

通勤路の信号待ち、なんかすごい新しっぽいトラックが通り過ぎて行ったが、大型ディーゼルのズゴゴゴガガガという例の音ではなく、カロカラコロンという軽やかな音。
エ、これホントにディーゼルエンジン? って音だった。

にしても年式の新しいトラックのエンジンは静かだ。ディーゼルはうるさくて振動が激しくてしかも臭いというイメージが覆る。ディーゼルっちゃ、軽油以外の燃料は使えるのだろうか。
なんか灯油とかメタノール混合とかでも動きそうな気はする。

ちょっとディーゼルのルーツを調べてみると、なんと19世紀末にはもう特許が取得されていて、1900年のパリ万国博覧会ではピーナッツ油での運転を実演したんだそうだ。
すげ、インジェクターなんて影も形もない時代にどうやってディーゼルエンジン作ったんだろ? しかも植物油で動いてしまうとは。

ディーゼルは圧縮比が高いから熱効率がよく、無駄な燃料を噴かないから燃費が良い。高圧縮比、ロングストロークゆえの重さと振動と回らなさを解決できれば、オットーサイクルのガソリンエンジンなんかはあっと言う間に駆逐してしまうだろう。

重さと振動は、素材の進化で解決出来るだろうか。素材が軽くて丈夫になれば、回せるようにもなる。重いというのは、トラック用なら構わなくても、乗用車用としては難しいものがある。

今時のガソリンエンジンは、日本の新車ならほぼ全車種アルミ製だ。ターボが下火な現在、重たい鉄のエンジンを使う必然性はない。

ディーゼルは加給器(特にターボチャージャー)との相性がいいから、熱の問題さえクリアできれば、ガンガンとパワーは上げられる。
レース界では、ターボの制限を緩くすると日本のエンジンが勝ちすぎるから、なかなかターボ技術を進め難いところがあるが、シーケンシャルタービンや、可変A/Rタービンなどの開発が進めば、すごいエンジンが出来るはず。

ガソリンエンジンは、空気とガソリンを混ぜてエンジンに吸い込むので、ターボで空気を沢山入れると、ガソリンも沢山噴くことになるので、燃費が良いとは言いかねる。
しかしそれでも、同じ最大出力を出すなら、自然吸気とターボとでは、ターボの方が熱効率が良いので、パワーあたりの燃料消費ではターボの方が少なくなる。

ディーゼルエンジンは、吸い込むのは空気だけで、燃料は、燃焼させる瞬間にチビっと噴くだけなので、ターボで沢山空気を吸い込んでも、噴く燃料の量がそれに比例して増えるわけではないので、ディーゼル+ターボという組み合わせは、パワーが出るし、燃費もパワーあたりの燃料消費として見ると非常に効率が良い。

去年のル・マン24h耐久レースで優勝したディーゼルというのを、ちと調べてみた。優勝したのはアウディの車。エンジンはV12、5.5リッター、アルミ製で圧縮比は落し気味だそうだ。700馬力でトルクが120kg/m。ディーゼルだけあって、トルクが化け物だ。
ガソリンエンジンで5.5リッターのレーシングエンジンだったら、多分トルクは70kg/m前後。馬力はガソリンの方が上になるはずだが。

アルミということで圧縮比を落としているのだろうか。さすがにレーシングエンジンで鉄っちんは重過ぎて無理ということかな。

このアウディのディーゼルは、一般的なトラックのディーゼルの圧縮比(20ぐらい)より大分落として15ぐらいだそうだが、ディーゼルとしては低い圧縮比にしても、まだまだガソリンエンジンより燃費がいいそうだ。

15なら、ガソリンのレーシングエンジン並みの圧縮比だ。そのくらいの圧縮比でも十分効率が良いなら、低圧縮比、低振動、軽量なアルミ製のスポーツディーゼルも作れるってことだ。

ル・マン24hを走りきったということは、アルミ製でも十分な耐久性があると証明したことになる。これはすごい。このニュース、もっと大きく取り上げられても良さそうなものだが、日本の乗用車にディーゼルはほとんどないからスルーなのだろうか。

乗用車には使ってなくても、トラック・バスはほぼ全てディーゼルなのだから、ディーゼルは良いですよってのをもっとニュースにしても良さそうなものだが。

欧州では燃費がいいディーゼルは、乗用車用エンジンとしても広く受け入れられていて、乗用車の6割ぐらいはディーゼルなんだそうだ。

燃料に植物油を使うバイオディーゼルの開発も進んでいるそうで、植物油なら硫黄が入ってないから、排気ガスに硫酸化合物が出ないので、酸性雨対策としては良さそうだ。
CO2は出るので、温暖化対策にはならないかも知れないが。

今年のル・マンは、プジョーもディーゼルで挑むと宣言しているので、今後はどんどんディーゼルエンジンが増えてくるのだろう。気が付いたらF-1までディーゼルなんてことになってるかも知れない。